15.“ハオハオの魔法”

 我が家に到着したコータは、ポニーから飛び降りると家の中にかけ込み、そのままおばあちゃんが寝ている部屋に行きました。
 部屋の中には隣の家の奥さんがいました。
「まぁ、コータ! 帰ったのね!」
 コータはベッドに寝ているおばあちゃんの枕元に行って、声をかけました。
「おばあちゃん、コータだよ」
「コータ?」
 おばあちゃんがゆっくりと目をあけました。
「うん、ボクだよ。“ハオハオの森”から帰ってきたんだよ」
「そうかい。無事に帰ってきたんだね。心配してたんだよ」
「ボクは大丈夫だよ。すぐにボクがおばあちゃんのプーハオ病を魔法で治してあげるからね」
 コータは、隣の奥さんのほうを向くと言いました。
「すみません。この部屋から出て待っててくれますか。魔法の呪文は誰にも教えちゃいけないんです」
「あら、そう」と言うと、隣の奥さんは部屋から出て行きました。


 (「コータとおばあちゃんのやりとりと“プーハオ病を治す魔法”」の部分は現在非公開)


 コータがおばあちゃんの部屋から一人で出てきました。
 広間には、近所の人たちが集まっていました。
「もうちょっと待ってください。すぐにおばあちゃんも来ますから」
「じゃあ、病気は治ったんだね」
 コータは黙って肯きました。
「本当に魔法で“プーハオ病”が治ったんだ」
「コータがおばあちゃんの病気を治したんだ」
「すごいぞ、コータ。よくやったな」
「やっぱり、コータはしっかりしてて、やさしくて、すごくいい子だわ」

 おばあちゃんが部屋から歩いて出てきました。ちゃんと着替えをして、すっかり元気になった様子でした。
 近所の人たちは歓声をあげて喜びました。すると、家の外からも声が聞こえてきました。
 近所の人たちに押されて、おばあちゃんとコータが家の外に出ると、村の人たちがたくさん集まっていました。
 みんながいっせいに歓声と祝福の声をあげました。
「バンザーイ、バンザーイ」という声が起こり、大合唱になりました。
 おばあちゃんは、いろんなほうを向いておじぎを繰り返しました。
 バンザイの声が小さくなると、おばちゃんが言いました。
「みなさん、ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした。アタシはこのとおり元気になりました。コータがひとりで“ハオハオの森”に行って、病気を治す魔法を白いフクロウから教わって、帰ってきてくれたんです」
 またいっせいに歓声があがり、コータを賞賛する声が続きました。
 コータは、自分への声におじきをしながら、照れて笑っていました。
(好!好! よかった! ボクはやったんだ! すごくうれしい! 好!好! 幸せだなぁ)とコータはすごい幸福感を感じました。

 家の中に入り、近所の人たちだけで祝宴をしました。
 おばあちゃんと隣の奥さんが料理を作り、みんなで食べて、大人たちはお酒を飲みました。
 コータは、久しぶりにおばあちゃんの料理を食べて思いました。
(好!好! やっぱり世界でいちばんおいしいや)
(ボクにはおばあちゃんがいる。やさしい近所の人たちがいる。いい村がある。好!好! 幸せだなぁ)
 コータは自分の幸せをしみじみと感じることができました。

 みんなで楽しく話をしながら料理を食べ終わると、近所の人たちは席を立ちました。おばあちゃんは出口で見送りながら、近所の人たちに言いました。
「みんな、本当にありがとう。いろいろお世話になりました。これからもコータのことをよろしくお願いします」
「よかったわね。元気になって」
「よかったな、コータ」
 その時、・・・

 (つづく) (以降は現在非公開)


   

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