1章 いいように受けとめよう


 物事は受けとめ方によって、感じ方が変わります。

 いいことは「好!好!(ハオ!ハオ!)」と素直に喜ぼう。
 悪いことは「ハオハオ」とまず受け入れよう。

 「いいことは好!好! 悪いことはハオハオ」で行こう!



いいことは「好!好!」と素直に喜ぼう

「ハオハオ」は中国語の「好好」です。
「好(ハオ)」は、「よい/好ましい/正しい/美しい」などの意味の形容詞、「喜ぶ/好む」などの意味の動詞です。また、「好」は「とても/たいへん」などの意味の副詞としても使われます。
「好好(ハオハオ)」は、副詞と形容詞を続けることで、「とてもよい」という意味です。

 いいことがあった時には、「好!好!」と素直に喜びましょう。

いいことは 好!好!

「好!好!」をきっかけに、自分なりの表情や動作や言葉で、その「好さ」を表現できると、さらにいい気もちになれます。

 たとえば、

☆楽しい時には、
好!好! 楽しい!

☆うれしいことがあったら、
      好!好! よかった、よかった

☆食べ物が美味しかったら、
    好!好! あー、うまい!

☆好きな人と会った時には、
好!好! うれしー

☆何かがうまくできたら、
好!好! ヨシヨシ

 いいことがあった時に、「好!好!」と喜ぶと、その喜びをより感じられます。



悪いことは「ハオハオ」と現実を受け入れよう

 悪いことがあった時には、まず、「現実は現実」ということを「ハオハオ」と受け入れよう。受け入れることで心を落ちつけることができます。

悪いことは ハオハオ

「ハオハオ」に、その状況に合った現実を受け入れる言葉を付け加えると、その意味がはっきりします。

 たとえば、

イヤなことがあった   ハオハオ こういうこともある


意地悪な人がいる   ハオハオ こういう人もいる


ミスをしてしまった    ハオハオ こういう時もある


上司に叱られた     ハオハオ しかたがない


  つらい          ハオハオ こういう時もある

「信じられない」「許せない」「なんで自分がこんな目に」「困った」「どうしよう」などと思っているのと、「ハオハオ、こういうこともある」と考えるのでは、心の中(の感じ方)が違うのです。


「ハオハオ」と具体的な考えの使い方

「ハオハオ」の意味として、「こういうこともある」「しかたがない」のような具体的な考えを書いてありますが、実際に使う時には、次の3つの使い方があります。
1.組み合わせて使う 「ハオハオ、○○○」
 「ハオハオ」と具体的な考え「○○○」を組み合わせて、「ハオハオ、○○○」のように心の中で言う。
2.「ハオハオ」だけを使う 「ハオハオ(○○○)」
 「ハオハオ」とだけ心の中で言い、その意味(○○○)はなんとなくわかっていればいい。
3.ふつうに具体的な考えだけを使う 「○○○」
 ふつうに考えているように、「○○○」だけを心の中で言う。素直に喜ぶ、受け入れる、受け流す、いいように考えるのような、「ハオハオ」の考え方だけを参考にして、自分なりの具体的な考えを心がける。
 3つの使い方のいずれを選択してもいいし、場合によって3つを使い分けてもいいでしょう。




物事をいいように受けとめよう

 何事も、いいこともあれば、悪いこともあります。
 いいことは「好!好!」と素直に喜び、悪いことは「ハオハオ」とまず受け入れると、自分(の心)にいいように受けとめられます。
 つまり、いいことも、悪いことも「ハオハオ」でいいということです。

いいことは 好!好!    悪いことは ハオハオ

「いいことは当たり前。悪いことは信じられない」と、「いいことは好!好! 悪いことはハオハオ」では、感じ方がぜんぜん違います。

 実際には、物事を「ハオハオ」と受けとめることで、その事がいいことなのか、悪いことなのかが自ずとわかります。

 ほとんどのものには、いい面もあれば、悪い面もあります。何かをすれば、いい結果もあれば、悪い結果もあります。誰にでも、好きなものもあれば、嫌いなものもあるでしょう。
 いいように受けとめたほうが、自分のためにいいのです。

△△のいい所は 好!好!         悪い所は ハオハオ


 うまくいったら 好!好!   うまくいかなくっても ハオハオ


  好きな人は 好!好!        イヤな人は ハオハオ


気分がよければ 好!好!      気分が悪くても ハオハオ


「ハオハオ」は、感情のコントロールに役立つ言葉です。イヤな感情にはブレーキの働き、いい感情にはアクセルの働きをします。


「ハオハオ」の由来

「ハオハオ」というのがどこから出てきたのかというと、『三国志』(吉川英治/講談社文庫)です。司馬徽(しばき)という登場人物がいます。別名・水鏡先生。劉備玄徳に諸葛孔明の存在を教えた人です。

「日常、善悪何事にかかわらず司馬徽は、きまって(好好)と、いうのが癖だった」(孔明の巻「琴を弾く高士」より)
「善悪にかかわらず」なのです。そこが「ハオハオ」の“味噌”なのです。

 ちなみに、五木寛之さんの著書『ハオハオ!』(角川文庫)の「ハオハオ」の由来も、司馬徽ということです。



いいことにもっと気づこう

 いいことがあっても、それに気づけないとそのまま時は流れてしまい、喜んだり楽しんだりすることができません。

いいことがない    ハオハオ 気づいていないだけじゃない?!

「好好?(これもいいことじゃない?)」と考えることで、いいことに気づけることがあります。

(これも) 好好?      そうだ、そうだ 好!好!

「好好(じゃない)?」と思えるようになると、小さないいことにたくさん気づけるようになれます。
「ハオハオ」は、いいこと探しに使うことができるのです。

 小さないいことに気づけるようになると、いい気分で過ごせることが多くなります。

 たとえば、

外に出ていい天気なら 好!好!          深呼吸をして 好!好!

   花が咲いていたら 好!好!       鳥が鳴いていたら 好!好!

ステキな人を見かけたら 好!好!  気もちよくあいさつできたら 好!好!

    仕事が終わって 好!好!     おいしいものを食べて 好!好!

    お風呂に浸かって 好!好!         ビールを飲んで 好!好!

           フトンに入って きょうも一日好!好!だった

 こんなふうに「好!好!」と暮らせたら、けっこうハッピーな感じがしませんか?



つらい時には、自分の心を受け入れよう

 つらい時には、現実を受け入れるとともに、自分の心(感情と思考)を受け入れることで、少しはラクになれます。

 悪い出来事があった時には、つらかったり悲しかったりするのはしかたがありません。また、そういう時に、つい否定的な考えをしてしまうのもしかたがないでしょう。

 たとえば、

仕事で大失敗 してしまった     ハオハオ 現実は現実

  情けなくて つらい       ハオハオ 今つらいのはしかたがない

自分は ダメだ      ハオハオ そう思ってしまうのも今はムリもない

 たとえば、

失恋してしまった       ハオハオ 現実は現実

   悲しい           ハオハオ 悲しいのはしかたがない

もうダメ 生きていけない   ハオハオ そう思ってしまうのも今はムリもない

 つらい時には、余計なことを考えずに、ただ「ハオハオ」と現実と自分の心を受け入れたほうがいいのです。
「悲しい時には悲しくていい」「つらい時にはつらくていい」ぐらいに思えれば、ずっとラクになれるでしょう。


受け入れるということ

「受け入れる」というのが、「ハオハオ」の大きなテーマです。
 ここでの「受け入れる」とは、現実にあることは「ある」と認めることです。ただし、事実や存在を認めるだけで、その価値や正当性を認めることはまた別の問題です。
 単に、「そういうことは世の中にあることだ」や「こういう人も世の中にはいる」や「人はそんなふうに感じ・考え・行動することがある」というようなことです。

「間違っている」「良くない」「信じられない」「許せない」などと思っていると、怒りなどの感情に心を支配されてしまいます。
 受け入れることで、心が少しは落ちつき、冷静な考えや対応がしやすくなります。



「いいことは好!好! 悪いことはハオハオ」で行こう!

 人生、いいこともあれば、悪いこともあります。
 いいことは素直に喜べばいい、悪いことはただ受け入れればいい。

いいことは 好!好!  悪いことは ハオハオ   で行こう!

 将来のことは、多少の悪いことは覚悟して、いいことを期待して生きられたらいいでしょう。
「いいことは好!好! 悪いことはハオハオで行こう」と覚悟を決めれば、少しはラクに、少しは元気に生きていけるのではないでしょうか。

これぞ、ラクに生きる・ハッピーになる極意! なんちゃって


ハオイストのすすめ

「ハオハオ」を心がけて生活することを、「ハオハオ主義(ハオイズム)」と呼ぶことにします。「ハオハオ」を心がけて生活する人は、「ハオハオ主義者(ハオイスト)」です。

「タオ」って、知ってますか? 「道(タオ)」です。
「タオイズム」は、道教・老荘思想のことで、老子(・荘子)の教えです。

「ハオハオ」は、「タオ」に通じる深いものなのです。

 あなたも、ハオイストになりませんか?


   

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